インタビュー010|森公孝さん(有限会社フォレスト代表取締役)

インタビュー010|森公孝さん(有限会社フォレスト代表取締役)

静岡県沼津市・三島市で、花屋『花工房*花チュール(カチュール)』を経営している森さん。

「うちの営業マンの子には、お客さまと会った瞬間から、お客さまを本当に心から愛してください、と言っています。」
「デザイナーの子には、お花を届けたときにお客さまが喜んでくださるイメージを持って、お花を作ってください、と言っています。」
「納品の際には、うわべじゃなく本当に感謝の心で納品してください、と言っています。」

お客さまに対する愛、感謝の気持ち、そして商品に対する情熱が、11年間ずっと大切に守り続けている、森さんの断固たるこだわりである。

ゼロからのスタート

知識もない、コネもない、あるのは情熱のみ。

大学時代、アルバイトの森さんを息子のように可愛がってくれた社長と、その素晴らしい会社の存在がきっかけで独立を意識するようになる。
大学卒業後は、ガス会社・健康食品会社・通信会社と転職し、営業で1番の成績を上げながらも「どういう会社にしようか」と考え、独立のタイミングをうかがっていた。

「僕は今、お花屋さんに、ものすごい自信と自負と誇りを持っているんですけど、お花ってすごくステキじゃないですか。いい商品ですし、いい商売だと思いませんか?」

サラリーマン時代に生け花をしていたこともあり、花屋に対する情熱に火が灯る。

「若い頃は情熱ばかりで、具体的な考えはまったくなかったですね。営業の成績もよかったから、『俺ならなんとかなる』っていう自信とうぬぼれがあったからやっていけたんだと思います。実際はなんとかならなかったですけどね。」

昔を思い返し、苦笑しながらさらに続けた。

「だから、独立してまずバカが治りました。自分ひとりじゃ何もできない、世の中はそんなに甘くないって気づきました。」

花屋に関する知識もなければコネもない。そんな森さんの強い味方といえば、花屋に勤めた経験のあるスタッフがいたということ。店主が従業員から教わるというスタイルで、『花工房*花チュール』が始まった。

大きなお店よりも深い心を求めて

多くの花屋から学んだ花チュールの基礎

独立前、花屋に関しては素人の森さんが、自ら足を運んで観察した花屋の数は200〜300件にも及ぶ。

「3,000円の花束をお願いします。」

訪れた花屋の中で、特に気になった約100件の花屋では、実際に花を購入して、その一部始終を観察する。どういう風に花束を作るのか、どういうサービスをしてもらえるのか。注文した花ができるまでの待ち時間が、勉強の場なのである。

「大きなお店よりも、小さなお店で店主が自ら作ってくれる花束にはいい物が多いんです。お客さまに喜んでもらおうという気持ちがありますし、感謝の心で作るからだと思います。」

店主がお客さまに感謝をするのは当然のこと。しかし、スタッフがどこまで感謝の気持ちで接客ができるか、どれくらい心のこもった花束が作れるか。そこが重要であると森さんは考えている。

そんな森さんの考えから生まれた花チュールのこだわりは『心』である。それは店主だけでなく、花チュールで働くスタッフの、お客さまや商品に対する心の深さが他の花屋との違いであり、森さんが貫く花屋のカタチである。

優秀なスタッフが集まる花屋

大勢の中から選ばれた素晴らしいスタッフ

花チュールは、他の花屋に比べて高時給・高給料である。

「たくさんの方に面接に来ていただきたいんです。20人、30人っていう・・・できるだけ多くの方に。」

ただでさえ花屋というのは人気の職種であり、高待遇にしなくても応募者はたくさんいる。しかし森さんは、より多くの人の中から、『心』を発揮できるスタッフを雇いたいと考えている。

現在、花チュールに勤めている14人は皆、20〜30人の中から選ばれた1人であり、森さんが誇るスタッフたちである。

「今うちに来てくれているスタッフは、本当にみんないい人たちばかりです。本当に。最高にいい人たちです。僕の自慢ですね。」

何度もスタッフを褒める森さんであるが、過去に森さんが退社した会社が、現在はお客さまとなっていたり、花チュールに勤めるスタッフの多くは長く働いている方々であったりと、社内外での信頼も厚いため、良い人材が森さんに集まるのだ。

愛のある接客と心を込めた商品を、お客さまに提供するためのスタッフ教育も徹底しており、皆一丸となって花作りに取り組んでいる。

長いスパンで、スタッフとの絶対的な信頼関係を築く

「スタッフには嘘をつかないようにしているので、思っていることは全部吐き出しています。ムカツクときは”ムカツク!”好きなときは”好き!”ってはっきり言った方が、本心がわかりやすいと思うからです。」

勤続年数の浅いスタッフは、森さんの厳しい言葉に面食らって泣いてしまったり、森さんに対して苦手意識を持ってしまったりするが、それでも本音で話し続けることにより、本物の、絶対的な信頼が得られるのだと、森さんは誇らしげに語る。

「短いスパンはどうでもよくて、長いスパンでの付き合いをしたいので。」

驚くことに、男性スタッフには、将来独立させてあげるための資金を毎月積み立てたり、独立意志のない女性スタッフには”50でも60でも、70歳はわからないけど、できるだけ長く勤めてください。”と話したりしている。スタッフを心から大切にすることで、愛社精神が生まれ、それが『心』となって仕事に現われるのだ。

森流!接客の心得

会った瞬間、お客さまを心の底から愛せ!

年間何百人という新郎新婦のお客さまと打ち合わせをする中で、必ず、苦手な方と接する機会がある。どんなに笑顔で繕っても、気持ちを無理やり隠そうとしても、嘘の気持ちである以上、お客さまに良い印象を与えることはない。

”お客さまのために作る花だから、お客さまを心の底から愛さなければいいものは作れない!”という信念を持っている森さんは、若い営業マンにはこのように教育している。

「お客さまと会った瞬間から、本当に心から愛せ!」
「この人とチューしたい!結婚したい!本当に大好きです!って思えるくらい、自分自身を洗脳しろ!」

心の底からお客さまに好意を持って接客すれば、不思議とお客さまにも好かれ、そんな大好きなお客さまのために作る花は、自然と心がこもりステキな花になる。

しかし、どんなにいい花を作っても、納品の際に元気がなかったり、心を込めた”ありがとうございます”や”おめでとうございます”が言えなかったりすると、せっかくの商品が台無しである。

「電話で”どうもありがとうございました。”なんて淡々と話しているスタッフを見ると、ぶっとばしてやりたくなりますね。そんなんじゃお前の良さが伝わらないだろ!もっと素直に感謝の気持ちを伝えろ!って叱ります。」

大好きな花の仕事ができるのは、お客さまのおかげ。この仕事を続けさせていただけるお客さまへの感謝の気持ちを素直に表すよう教育している。

森流!デザイナーの心得

お客さまが喜ぶイメージを持って心を込めて花を作れ!

「何でもそうだと思うんですけど、たとえば大工さん。どんなに腕のいい人でも、面倒だとかお金のためだけに造っている大工さんと、お客さまを喜ばせようと思って造っている大工さんでは、やっぱり、技術よりも心のある大工さんの方が断然、お客さまが喜ぶようないいものを造ると思います。」

「よくイメージって言うんですけど、お花を届けたときにお客さまが喜んでくださるイメージを持って作ることが大事だと思うんです。」

「たくさんお花屋さんがある中で、僕らを選んでいただけたというのは、本当にありがたいことですから、感謝の気持ちとお客さまに喜んでもらいたい気持ちでお花を作ります。技術じゃないんですよね、心が重要なんです。」

毎日毎日たくさんの花を、ただ勤めているだけの人が”今日は10個も作らないといけないのか、面倒だ”などと考えながら作った花には心がこもっておらず、素人が見てもつまらない花であると、森さんは考える。花を作る仕事は、一連の流れのようではあるが決して大量生産ではない。それぞれの花には、お客さま1人1人の思いがあることを、絶対に忘れてはならないのだ。

「結婚式のブーケの場合、一生に1回のものですから、たとえ何時間もかけて作ったものでも、商品に心がこもっていないと感じたら作り直していただきます。自分の娘や大切な人のために作ってあげるくらいの気持ちで、1つ1つ作ってもらいます。僕は、妥協を絶対に許しません。」

新婦さん+ドレス+イメージ

「鉄則は、新婦さんとドレスの写真を手元に置いて、イメージを頭に浮かべてブーケを作成してもらいます。」

同じ”大人っぽいイメージ”を希望する新婦さんがいた場合、身長145cmで18歳の新婦さんがすごく喜んだブーケでも、身長170cmで35歳の新婦さんが同じように気に入ることはありえない。

過去に2000人を超える新婦さんと打ち合わせをしてきた森さんは、新婦さんと会ってしばらく話をすることで、その人が求めるイメージを掴むことができる。そのイメージをデザイナーに伝え、デザイナーは新婦さんとドレスの写真を見ながら、求めるイメージを頭に思い浮かべ、ブーケを作成するのだ。

お客さまの喜びが本物である証明

お客さまの家族や友人が、新しいお客さまになるということ

「お客さまを愛して、一生懸命お花を作って納品させていただきましたら、必ずそのお客さまは、兄弟や姉妹、親友の方に花チュールを紹介してくださるんです。大切な方を紹介していただけるということは、本当に心から喜んでいただけたと実感できるので、とても嬉しく思いますし励みになります。」

そう話すと、嬉しそうな表情で、壁に貼られているお客さまからのハガキを指差した。

見てみると、たくさんのハガキや手紙が壁を覆っていた。それらのすべてに、森さんや花チュールスタッフへの感謝の言葉が綴られており、写真の真ん中にある花束が、幸せな2人を繋いでいた。

目標である県下NO.1の『心』、それが自己満足ではないことの証である。

最後に・・・。今、ワクワク・ドキドキしていますか?

「5歳と2歳の娘がいるんですけど、僕は娘が欲しかったので、娘とディズニーランドに行ったりどこかに出かけて遊んだりして、一緒にいられるのが今はすごく嬉しくて楽しいですね。人生で今が一番楽しいのかなって思いますね。」

普段は、『心』という信念を貫き通す花屋の社長であるが、休日は娘にデレデレのお父さんである。

「三島のカドイケさんの店舗は、99%店頭販売でやっています。店舗にいる2人のスタッフは沼津店同様、何十人の中から選んだ子たちなので、人柄が抜群にいいんです。今は時間的余裕がないのですが、お花を教えたいなと思っています。」

取材日:2009年2月 (記事:中野)

森さんのプロフィール

1972年(昭和47年)5月生まれ。現在36歳。 妻と娘2人(5歳・2歳)の4人暮らし。大学卒業後、ガス会社、健康食品会社、通信会社を経て、1997年(平成9年)独立して有限会社フォレストを設立。沼津市で、花屋「花工房*花チュール」を開業する。

インタビューコメント 〜森さんとお会いして〜 eひとスタッフ 中野

私がお花を買うのは、たいてい大切な誰かへの贈り物。
感謝の気持ちだったりお祝いの気持ちだったり…
お花を贈っているようでも、やはりそれ以上に気持ちを伝えたくて。

お客さまへの感謝の心、お花に対する愛情を大切にする森さんは、ご自身が大好きな花である”赤い薔薇”のように、熱くステキな方でした。

もうすぐ母の日。
心を込めたプレゼントを贈りたい。

そんなとき、花チュールをご存じの方はラッキーですね!

お忙しい中インタビューを引き受けてくださり、お土産に可愛らしいお花の鉢植えまでいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。

ありがとうございました。

インタビューコメント 〜森さんとお会いして〜 eひと編集長 中村

「瞳がとてもキラキラしていて、目ヂカラがある方だ!!」 これが、森さんとお会いした第一印象でした。

「植物は、人間の言葉を理解している。」と言われています。

森さんのお店で作られる花束が、お客さまに心から喜ばれ、誰かに紹介したくなってしまうのは、森さんをはじめスタッフの方たちの「お花に対する愛情」・「お客さまに対する愛情」が注がれ、見た目だけでなく、心が満たされる贈り物だからだと感じました。

インタビュー中、お客様からの電話に対応されている森さんを拝見し、「こんなに元気に電話に出てもらえ、電話したお客さんは気持ちいいだろうなぁ。。。」と感じておりました。
お忙しい中、お話をおうかがいさせていただきありがとうございました。

有限会社 フォレスト 『花工房*花チュール(カチュール)』 会社情報

所在地 【沼津店】 〒410-0871 静岡県沼津市西間門84-3
【三島店】 〒411-0854 静岡県三島市北田町3-58 カドイケ生花部
電話番号 【沼津店】 055-929-6661
【三島店】 055-973-9417
FAX番号 【沼津店】 055-929-6662
営業時間 【沼津店】 9:00〜18:00 (年中無休)
【三島店】 10:00〜22:00
事業内容 花束、ブライダル装花販売
WEBサイト ・花チュール http://hanaya.in/
・ネットショップ http://kachuru.shop-pro.jp/
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