インタビュー005|渡辺裕文さん(合資会社フレッシュ代表社員)

インタビュー005|渡辺裕文さん(合資会社フレッシュ)

「あのテーブルはほんと、日本にないんです!」
「あんなの見たことないでしょ?すんごいステキですよ!」

目を輝かせ、まるで宝物を見つけた少年であるかのような表情を見せた。

楽天ランキング1位を何度も獲得する大人気のネットショップ『伊豆グルメ』を運営し、成功をおさめた後、それだけには留まらず、沼津市内に新たにハワイアン雑貨を取り扱う実店舗『Pororoca〜ぽろろっか〜』を構えるなど、若干31歳、猪突する渡辺さんに私は興味を持たずにはいられなかった。

すべてに通ずる「感じてやる」精神

本は読まない。いいと思ったものを取り入れて、とにかくやる。

「計算はしない、常に思いつき。」
渡辺さんが手がけた内装その言葉通り、商品を選ぶ基準は渡辺さん自身が気に入ったものがほとんどだ。
独特の手作り感がいい味を出している内装や、外装も自らが手がけている。
熱帯魚が大好きだった小学生時代、当時覚えた単語『Pororoca』(アマゾン川の逆流)を、ふとした瞬間に思い出すことが度々あったことで縁を感じて店舗名にしてしまうなど、直感・感性を大切にしていることが表れている。

「本当は、本を読んで勉強したり計算したりするのが必要なんだろうけど、そういうのは面倒くさいって思っちゃいます。本を読んでやるんだったら、自分で考えてやった方がいい。」

渡辺さんの口調はとても軽かったが、思いつきでの行動を成功につなげるのはそう簡単なことではない。そこには持って生まれた豪運やカリスマ性、またはいろいろな経験から学んだノウハウを無意識のうちに実行する能力があるのであろう。

「やるとなったらあとはやるだけ。やめたくないからやるしかない。」

いずれにせよ、凡人の成せる業ではない。

男はかっこつけ、何でも完璧にしたがる性

実店舗をもつきっかけはかっこつけ、あとは信用性。

「実は、”やろう!”と決めて始めたわけではなくて、ネット販売の仕入先のお客さまがこの建物をつくることになったので、”事務所兼雑貨屋でもやろうかな”って思ったことがきっかけです。もし事務所がなかったら、家でパソコン…かっこつかないじゃないですか。」

「男って女の人とは違って、人より上にいきたいとか独立したいと思う気持ちは強いと思います。かっこつけだから、その分失敗率も女の人より高いですけどね。」

「逆でよかった。」

実店舗を持っている運営者が、IT時代の流れでネットショップを始めるというのはよく聞く話であるが、それとはまったく正反対で、ネットショップから事業を始めた渡辺さんの本音がこぼれた。

渡辺裕文さん「普通は逆、お店を持っている人がその延長でネットショップをやると思うんですよ。僕の場合は逆。ネットで売る力をつけて、ある程度売り上げを出してからお店を始めたから良かったんだと思います。ネットを見て来店するお客さまもいますから。そうでなければ僕は失敗していたって強く思います。」

楽天ネットショップ『伊豆グルメ』は”伊豆地域のおいしいものを紹介していこう”というコンセプトでつくられており、沼津のひもの・静岡のお茶・伊豆の乾(ほし)しいたけ・三島のうなぎなどが人気商品である。
また、Pororocaの商品も取り扱っている。

大人気商品 貝殻を散りばめた "BlueHigh TABLE"

在庫なし、おまけに原油高が原因で生産ストップ。もったいない!

ブルー・ハイテーブル「評判がよくて問い合わせが殺到してるけど、もうお店に在庫はないし、原油高で生産もストップ…もったいない!」
「”車屋のショールームに置きたい”とか”映画の撮影で使うたまり場のカフェに置きたい”とか、いい話もあったけど断っちゃった。」

来年の1月か2月に再販予定であるが、値段はだいぶ上がってしまうらしい。
一旦は残念そうに肩を落とすが、いずれこの大人気商品のテーブルに匹敵するようなデザインの商品をつくって卸業務もやりたいと、現在がまだ進化途中であるかのような姿勢を見せた。

貝殻を散りばめた『ブルー・ハイ テーブル』はこちら。

お客さまの表情、生の声が実店舗でのやりがい

売り上げはネットショップに及ばない、それでも魅力を感じる実店舗。

「ネットショップでは見ることができない、お客さまの喜ぶ顔を見たり、生の声を直に聞いたりできるのが嬉しいです。その反面、喜んでいただけなかったお客さまを目にしたときはショックも大きいです。若い男性客が来店して、レジの僕を見ると帰っちゃいます。その反面、おばちゃんウケは結構いいんですよ。」

Pororoca〜ぽろろっか〜インターネットで『伊豆グルメ』や『Pororoca』を見て、東京や神奈川などからわざわざ買いに来る人もいるという。沼津港に来る観光客が多く来店するが、地元の人がちょっとしたプレゼントなどを買い求めて何度もお店に足を運ぶこともあり、徐々にリピーターも増えてきているようだ。

「たぶんね、僕無愛想だから、僕を目当てに来てくださるお客さまはたぶんいないと思う。だけど、常連のお客さまやたくさん買ってくださるお客さまには、割引きをしたり何かプレゼントをしたりして、感謝の気持ちをサプライズのサービスとして表すようにはしています。」

一見するとクールな印象を与えがちな渡辺さんであるが、その中にある温かいおもてなしの心の一端を垣間見ることができた。

会社員から経営者になるということ

プライベートの時間も仕事、頭の中は会社でいっぱい。

「会社員のときは全然考えなかったけど、経営者になってからはプライベートの時間まで仕事をすることもあり、常に会社のことで頭がいっぱいです。」

「給料を払う人の気持ちになったとき…すごいんだなぁとホントに思いました。ましてや一代目の人、すごいなぁって思います。払うお金を生み出すのがすごく大変なことだということ。経営者としての思いっていうのがわかりました。」

渡辺裕文さん「起業したときはやる気満々で始めたけど、もう何年も経っているから、毎日の仕事をこなすだけ、ただ繰り返すだけになってしまって、やる気を維持することは難しいんです。」
「定期的に会う社長がいるんですけど、会うたびに、”あっ!頑張ろう!もっと頑張らないと!”って思えるようになります。」

渡辺さんにとって卸の業者さんや社長さんと会うことは、商品や情報を仕入れるだけではなくて、自分のモチベーションを高めることができる良い機会であるという。

また、横のつながりで商品につながることもあり、”人付き合いはあまり得意じゃない”といいつつ、人との関係をとても大切にしている。その結果、事務所兼雑貨屋をもつことができたのである。

猛進する渡辺さんを支えた人

それは独立直後に結婚をした奥さまである。
起業したばかりで苦労があったときに、渡辺さんがイライラをぶつけても奥さまはだまってサポートしてくれたと、改めて当時を思い起こし、奥さまに感謝の気持ちを表していた。

「最初きつかったから…つらかったと思います。」
「何も言わずについてきてくれたこと、すごく感謝しています。」

最後に・・・。今、ワクワク・ドキドキしていますか?

沼津港は夏休みになると観光客で溢れ返り、それに伴って周辺店舗の呼び込みも活気づき、この辺りはとてもにぎやかになる。

渡辺裕文さん「夏休みってワクワクします。旅行客や地元の人がいっぱい来て、この辺りは人で溢れます。レジにも行列ができるんですよ。夏は洋服をハンガーにつってお店の外に並べたり、ディスプレイします。」

「店舗の完成度、今はまだ70%くらい。陳列や商品の整理、照明をあてたりと、もっと改良したい部分はありますが、できていない状態です。」
「ワンウェイコントロールって知ってます?コンビニなどでも取り入れていますが、”すべての商品をお客さまに見てもらうシステム”のことで、うちのお店は小さいからあまり効果は期待できませんが、来店したお客さまに店内を一周まわっていただけるようにしたいんです。」
「あとは、卸の業務もやりたい。」
「ラッピングにも懲りたい。」
「完成したらフリーペーパーも出したいと思っているんですよ。」
「もう1店舗出したい!洋服屋でも、何屋でもいい。もう”つて”はあるから、あとは投資してくれるところさえあればね。」
「他にもあぁしたい、こうしたいっていうのはたくさんありますけど、まだできていない状態なんです。」

そう語り、楽しそうに笑ったが、今度は落ち着いた声で。

「勝負は35歳のとき。」
「毎月支払っている借金が終わるから、そこからが勝負だと思っています。」
「今は土台固め。長いスパンで考えると、ワクワクするのは35歳のときにどうなっているか。つぶれてるか、いってるか。いってればいいですけどね。」

取材日:2008年7月 (記事:中野)

渡辺裕文さんのプロフィール

1977年(昭和52年)3月、三島市生まれ。家族は、両親・弟・妹、そして妻と子供1人。学校卒業後、東レ関連企業に入社。オーストラリア留学、東レでの知識を活かし2005年9月に起業、現在の合資会社フレッシュを設立。その後、楽天ショップ「伊豆グルメ」を大成功させ、沼津市内に実店舗の「Pororoca」を構える。

インタビューコメント 〜渡辺さんとお会いして〜 eひとスタッフ 中野

今回、唯一店舗に残っていた”ブルー・ハイ・テーブル”の”パシフィック70”を見ることができました。
日本で同じような商品を見たことがない上に、その神秘的な美しさに感動しない人はいないと思うほどのすばらしさでした。写真を掲載していますが、実物はもっとステキです。

誰にでも”やりたいこと”はありますが、それを実行して現実のものにするのは簡単なことではありません。”計算はしない。思いつき”だけで商売を成功させられるほど、今の世の中景気が良いわけでもありません。成功の影には地道な努力があるのだと思いますが、それを表に出さないのは、やはり”かっこつけ”なのかもしれません。
中身が伴っている”かっこつけ”な渡辺さんを、私は”かっこいい”と思いました。

渡辺さんが35歳になったとき、もう一度お会いしたいと思いました。

ありがとうございました。

インタビューコメント 〜渡辺さんとお会いして〜 eひと編集長 中村

「やるしかない!」その言葉がとても印象的であり、「強さ」を感じました。
気取らず、構えず、無理をせず。そんなありのままで前進し続ける渡辺さんを、とてもすてきな方だなぁ、と思います。
「やるしかない!」そんな強い意志と、折れない気持ちを持った渡辺さんが今後注目していく商品、商材を楽しみにしております。
熱い日差しの中、インタビューに対応していただき感謝しております。ありがとうございました。

合資会社フレッシュ 会社情報

所在地

〒410-0022
静岡県沼津市千本港町124潮さい市場201

電話番号

055-957-2200

FAX番号

055-957-2201

事業内容

楽天ショップ 『伊豆グルメ』 運営
http://www.rakuten.ne.jp/gold/izugourmet/
ハワイアン雑貨 『Pororoca〜ぽろろっか〜』 運営
http://www.rakuten.co.jp/izugourmet/1769582/ (楽天ショップ)
http://www.numazu-pororoca.com/ (ホームページ)

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