インタビュー002|高柳敏男さん(株式会社タカヤナギ会長)

高柳敏男さん|株式会社タカヤナギ会長

「やっとできたよ。」そう話し始める高柳会長のこの笑顔。ワクワクさせられませんか?

「納得のいく、『これはいいよ!』と自信を持って言えるものができたんだよ!」
声弾ませる高柳会長はこの夏、画期的な再生品原料のサンプル配布を始めた。独自の技術により、点滴パック・点滴ボトルのリサイクルを実現。さらに、その再生品原料はこれまでの品質とは大きく異なり、バージンに匹敵する高品質を保証する。

2008年7月。株式会社タカヤナギが、新しいエコ技術と再生品原料を世に送り出す。

医療廃棄物の収集を始めて17年目の着想。

産業廃棄物収集運搬業のひとつとして

医療廃棄物の収集を始めた17年目のこと。排出元である病院・医院から排出される点滴パック・点滴ボトルの多さに、「これを焼却処分し続けるのはあまりにももったいない。これをどうにか再生できないものか。」と思ったのがきっかけとなり、今から3年前、沼津の西沢田に工場跡地を購入し、本格的な研究を開始した高柳会長。高柳敏男さん

「はじめは焼却処分されていたものを再生するという、ただのリサイクルを目的にしていましたが、研究を進めていくうちに、中途半端な再生品ではなく、バージンに匹敵する品質を持つ再生品を作って初めて、みんなに喜ばれるのではないかという考えに変わっていきました。」

CO2削減・地球環境保全など企業のイメージアップとなるリサイクルの意識に加え、現代の原油価格高騰の折、貴重な代替燃料を安価で提供する技術に、高柳会長はいち早く着眼していた。

株式会社タカヤナギのリサイクル

「大手企業でもこの手の研究を積極的に進め、特許を出しているようですが、我々の技術には行き着いていないというのが現状ではないでしょうか?」

デリケートな作業を機械化することによって、大手企業もなしえない高いコストパフォーマンスの仕組みを3年の月日をかけて確立させた。(技術的な詳細は、株式会社タカヤナギのホームページで紹介されている。)

「リサイクルするにあたり、一番研究に時間を要したのは、この3つですね。」
そう高柳会長があげたのは、以下の3つである。

  1. 点滴パックに接着されたラベルの剥離
  2. 点滴パックに記載された油性マジックを消す作業
  3. 注射針がささったゴムの分離

「研究のほとんどは、この3つに費やしたといっても過言ではなく、特にラベルの剥離とマジック消しに関しては、我々の技術によって99.9%きれいになり、その作業時間は、手作業で1000枚処理するのに8時間かかるところを、40分に短縮し、12倍の効率化が得られます。」
再生品原料の品質とリサイクル技術の高さは数値化され、確かなものだと納得させられる。

お金があるから、いい仕事ができるわけじゃない

「お金をかけるのは、あまり好きじゃありません。」

高柳敏男さん実際に、大手企業でも生み出せない機械化の仕組みは、九州から購入した「中古品コンクリートミキサー」から始まった。

「お金をかけていいものができるのは当たり前だと思います。僕たちがしているのは、労働ではなく仕事です。にんべんのつく作業をしているからには、どうお金をかけずに頭を使いアイデアを出すか、今までに培われた知恵と知識をどれだけ絞り出せるかだと思っています。」

「例えば、1億円の研究費をかけて開発された技術や商品を提供する時は、その研究費を回収するだけの価格がつけられます。それでは本当の意味でお客さんは嬉しくないと思うのです。最低限のお金で、最高のものを生み出してこそ、お客さんに喜ばれる仕事ができるのだと思います。」

言葉の通り、一つのコンクリートミキサーをもとに20〜30個の方法を試し、多くの失敗から知見を得て、自分の経験とアイデアで改造・改良を繰り返し型を変え、特許を出願するまでのリサイクル技術を生み出した。

求めたものはお金じゃない

「再生品でお金儲けしようとは考えていない。」

この言葉の真意は、高柳会長の「仕事をする」という時間の考え方と、人生観にある。

高柳敏男さん「お金のためでも、世の中のためなんていう偉そうなものでもなく、単純に自分のため。自分のために常に仕事を生み出しています。」

30年前、東レ株式会社の研究員として一線で活躍していた高柳会長は、惜しまれながらも30代の若さで退職している。

「『もったいない。なんで辞めるんだ!』と、まわりのみんなから口を揃えて言われました。だけど僕はちっとも、もったいないとは思いませんでした。」

一流企業の研究員として最前線の仕事し、定年後には悠悠自適な老後が約束されているという多くの人が焦がれる人生は、高柳会長にとって何の魅力も感じないものだった。

「僕にとって耐えられないのは定年を迎えること。60代になったら、契約社員になり、年俸は下がり、新入社員が入り、定年を迎える。僕のおやじが定年を迎えた時の髪の毛の変わり様を見ているからでしょうか、僕はそんな生き方、働き方に我慢ができなかったんです。」

だったら、定年のない「自分の会社」を作ればいい。80、90歳になっても、生きてさえいれば仕事ができるという喜びを味わっていたい、そんな思いで会社を設立した高柳会長は、「お金を生み出す仕事」よりも、「試行錯誤して、いいものを作りたいと思い続けられる仕事」を追い求め、仕事をし続けている。

求め続ける仕事のかたち

現代においての社長の評価は、

いくら儲けているか、稼いでいるやつが偉い。という風潮は否めない。

「仕事である以上、お金をいただくことは必須ですが、余分なお金はいらないと思っています。お金をいっぱい持った人をTVなどで見ても、全然羨ましくないですね。お金に興味がないと言ったら嘘になりますが、『お金なんて一日一日食べていけるくらいでいい!それより定年がなく、いくつになっても楽しく仕事をしていた方がいいじゃん!』と思ってしまうんです。」

「僕が思うに、楽なお金儲けの方法はいくらでもあります。にも関わらずなぜ敢えて苦労するかというと、仕事は楽しむものだと思っているからです。僕にとって苦労は、逆に仕事の張り合いになり、目標を持つことができるのです。『もっとよいもの』を求め続け、最終的にお客さんのニーズにぴったり合ったものを提供できたら嬉しいなぁ、と思っています。」

そして、心と心のつながりで長くお付き合いできるようなお客さんと多く巡り会えることを高柳会長は望んでいる。

仕事を楽しくするということ

「どんな仕事でも、きっとそれぞれ苦しい部分があります。」

「それを楽しく進めていかなくてはいけないと思っています。僕らがやっている研究の仕事も、成功するしないよりむしろ、やっている本人が楽しいか、楽しくないかが評価にあたり、それを決めるのは自分自身です。困難にぶち当たったり、ミスをしたり、結果を出せなかった時、誰でもすぐ人のせいにしたがりますが、それを乗り越え、そんな時さえも楽しくすることができるのは、自分自身だと思っています。」

真面目である必要はない

「ミスをしたり、研究機械を壊したり、結果がでないことに対して一切怒る事はありません。」

「仕事への意識として、真面目であるは必要ない。」と高柳会長は力強く繰り返す。

「朝から晩まで職場にいて、真面目に働くことが仕事ではないと思うのです。1時間かかる仕事だったら、それが1分でできる仕組みを考えて、残りの59分は新しいアイデアを考えることが仕事だと思っています。考えることができるのは人間だけですから。。。」

真面目に勉強してアイデアが浮かぶタイプではなく、ドライブや遊びの中でひらめくタイプだと自身を語る高柳会長は、極論すれば気分がのらないのならば、定時間まで働く必要はなく、午前中で帰って本屋にでも行けばいい!と、冗談交じりに笑う。

「ただ、自分のしたことに対して、嘘をつくことだけは許せません。ありのままでいいんです。悪い事をした時は、素直に謝る事ができたらいいんです。後から謝るのではなく、先に謝る事。それが大切な事だと思っています。だから嘘をつかれた時。それが分かった時、僕は本気で腹が立ち、怒ります。」

嘘をつくということは、自分を苦しめること。それは楽しさとは相反するものだと語る高柳会長は、研究者としてスタッフを教育する一方、自らの理念をもとに、「仕事をする楽しさ」を伝えている。

笑顔でいてくれる人がいてこその仕事

「お前がいるから俺は頑張れているんだよ。」

「そう、昨日も女房に言ったんです。僕以上に働き、苦労をし、60歳を超えた今でも現役で一緒に働いてくれています。」

「僕の贅沢は、一日320円のたばこ3箱と100円の紅茶花伝6本。それ以外のお金は、全て女房に渡しています。いい背広を買ったり、いい道具を買いそろえたり、そんなことよりも僕が仕事を楽しみ、女房が喜ぶ笑顔を見ていたいですね。」

高柳敏男さん2歳年下の奥さんに対し、同年代のテニスサークル仲間と撮った写真を見ると一人だけ少女がいる感じだと笑う高柳会長。偶然拝見した奥様は、お話の通り。

「おばあちゃん譲りの色の白さときれいな肌なんですよ。」

そう高柳会長は続けたが、誠実な考えのもと仕事を楽しむ高柳会長の側で、一緒に人生を楽しんできた奥様だからこそ、きれいで居続けられるのだと感じた。

最後に・・・。今、ワクワク・ドキドキしていますか?

「今は、この髪の毛をいつまで伸ばさないといけないかなぁ、とワクワク・ドキドキしています。
先日問い合わせのあった名古屋の企業に、数10kgの再生品原料サンプル送りました。きっと1ヶ月以内にはサンプル品のテスト結果が出るんですよ。
今やっと自分が満足できる再生品原料ができ、その方法も見つかり、その自分がいいと思ったものに対して、『高柳さん。よかったよ。』という、返事がもらえるまで髪の毛は絶対切らないと決めたんです。願掛けのようなものです。そして、『今までバージンを使っていたけれど、高柳さんの再生品が使えるよ!』という結果をもらえたなら、そういうお客さんを一件一件増やして、提供し続けていきたいと思っています。 」

取材日:2008年7月 (記事:中村)

高柳敏男さんのプロフィール

東レ株式会社を、30代の若さで退職。「定年のない会社」を求めて独立。様々な職業を経て、1984年(昭和59年)軽貨物運送事業を創業。後、1988年(昭和63年)に「高柳運送有限会社」として法人化。2004年(平成16年)、社長から会長となり、社名を「株式会社タカヤナギ」へ。産業廃棄物収集運搬業をはじめ、環境・エコロジー・リサイクルに対して積極的な活動を進めている。

インタビューコメント 〜高柳会長とお会いして〜 eひと編集長 中村

高柳会長にお会いして、気持ちがなんてきれいな方だろう・・・。と感じました。家族を大切にした上で、自分のやりたいことをやって年を重ねていく。とても格好いい生き方ですね。こんな男性ばかりだったら、女性は幸せなのに。。。そんな思いを抱いてしまいました。髪を切った高柳会長に、またお会いしてお話をお伺いできたらいいなぁ。と思います。高柳会長、ありがとうございました。

株式会社タカヤナギ 会社情報

所在地

【本社】〒411-0033 静岡県三島市文教町2丁目15番36号

【営業所】〒410-1124 静岡県裾野市水窪202

【工場】〒410-0007 静岡県沼津市西沢田222-3

電話番号 【本社】055-987-8698 【営業所】055-995-1400 【工場】055-926-6456
FAX番号 【本社】055-987-8208 【営業所】055-995-1401 【工場】055-926-6456
事業内容

・点滴パック、点滴ボトルリサイクル

・産業廃棄物収集運搬業(廃プラ、廃油、石膏、廃酸、廃アルカリ)

・特別管理産業廃棄物収集運搬業 (感染性、引火性廃油)

・一般廃棄物収集運搬業 (一般家庭ゴミ、業務ゴミ)

WEBサイト 株式会社タカヤナギ  (http://www.tkyng.com/)
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