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◆ 安心して口に入れられる 安全な食べもの

だから「無農薬・有機栽培」に徹底的にこだわりたい

この戸田ファームより1年早く整地を進めた御殿場ファームでは、ほとんどを輸入に頼っている「小麦」作りに挑戦し、地元の方の協力をえて、今年5月に初収穫を楽しんだ。

「手間と労力を惜しまず、畑を耕すところから全て自分たちでやりました。『なんでこんな大変なことを・・・』と、確かに思うときもありましたが、収穫された小麦を目にしたら、『あぁ〜。』って、いろいろなこと全てが報われた気がしました。」

「自給率が低いから、国産小麦を作って高く売るとか、国産小麦ってことだけを優先させて、化学肥料を使い、農薬をまいて大量に作る。なんていう、考え方はしたくない。」

小麦作りについて、そうきっぱりと、力強く断言する村上さん。

「大量に作ること自体が悪いとは思っていません。ただ、安心して食べられる、食べてもらえることを第一に考え、『無農薬・有機栽培』で作ろうとなると、おのずと収量は限られます。少ないパイの中で考えたとき、無理して手広くやるのではなく、まずは『僕の顔』・『僕のこと』を信用して任せてくれる人たちへ、正直にリターンしていくことからスタートさせ、それがよい形で広がっていけばいいなぁ。と考えています。」

実際に今年収穫した小麦は、約100kg。
製粉後、まずは村上さん自身とスタッフで楽しみ、「むらかみさんち」会員の方や協力してくれた方に送り、わずかな残りを通信販売した(完売しております)。

「手間を惜しまずに食べものを作りたい。このコンセプトを大事にやっていきたいんです。」

「品質」・「安心」へと関心がシフトし、生産者の顔が見える「食」が当たり前になりつつある中、近年再び自給率の低さに対する危機感が騒がれはじめ、収量性の高い農業が求められてきている。

収量が大切のは百も承知。
だけど今は余分なことは考えず「まずは自分たちの安心な食べ物を作る。」
そして「まわりの人にも安心な食べ物を食べてもらいたい。」
「むらかみさんち」では、そんな本来の「農の心」に重きを置き、作ること・食べること・食べてもらうことに、日々幸せを感じながら歩みを進めている。

◆ 本物の自然に触れたと実感してもらえるような体験を

毎月不定期に行われる「むらかみさんち」のイベント・自然体験

もともと少年時代からアウトドア好きだった村上さんは、今でもただ単純に自然の中にいるだけで楽しいという。

「でも、そういう人ばかりじゃないと思うので、まずは実際に『水に触れる』・『植物に触れる』・『昆虫に触れる』、何でもいいのでちっちゃいことでも、たくさん、いろんなことを経験して欲しいなぁ。と思い、イベントや自然体験を考えています。」

「本物の自然に直接触れたという実感を持っていただけるようなことを、発信できたら嬉しいですね。」

自身も伊豆育ちではなく、東京から伊豆に移り住んできた一人。
既存の情報に頼らず、実際に見て、食べて、触って体験し、自ら五感のアンテナをフル活動させ日々「これはいいっ!」と感じるもの探求している。

「僕も伊豆で育った人間ではないので、そんな外部からの目線で紹介するっちゅうことが、メリットになるのではないかなぁ。と思ってます。」

魚は「切り身」の姿で泳いでる!?

「虫が触れないとか、極端な例ですが、少し前にニュースで騒がれていた『魚が泳いでいる姿を知らない子供』、切り身の姿で泳いでいると思っているとか、そういうのを聞くと、自分がちっちゃい頃の常識では考えられないことも、逆に情報社会になったことによって、弊害が出てきているのかなぁ。と思います。」

「そんな子供たちに、『命そのもの』と言ったら大げさなのかもしれませんが、本物に触れる機会を与えてあげたいんですよね。手つかずの自然が残された伊豆でなら、それが実現できるんです。」

今年の夏。夜な夜なカブトムシ捕りに出かけた村上さん。夏休みに遊びに来た子供たちに捕り方や穴場をレクチャーするためだ。 「例えば、『カブトムシ捕り』にしても、人工小屋の中で養殖のカブトムシを捕まえてもらうというサービスの形もあるかもしれませんが、結局それは本物の自然じゃないですから。。。」

提供したいのは、「カブトムシ」ではなく、「カブトムシを捕まえる」という体験そのもの。手軽さにはない、作業の後の喜びと感動を味わってもらいたいのだという。

「僕がちっちゃい時に冬場に釣りに行って、何が楽しかったかと言えば、魚が釣れることも当然楽しいけれど、流木を拾って、子供たちだけでたき火ができたこと。普段は『火遊びをしたらダメ!』と、怒られるようなことが、自然の中ではできちゃうという、そういうわんぱくができることが、自然に出て楽しいことだと、自分としては思っています。」

わんぱくができること。
それが自然の醍醐味であり、「むらかみさんち」の管理人として、日々忙しく働く村上さんの原動力なのかもしれない。

◆ 今年はスタートの年 とにかく「チャレンジ!」

農業にしても、イベント開催にしても、今年はチャレンジの年。

「農業に関しては、収穫ひとつにしても、実がつく前の間引きにしても、ベストなタイミングを知っていないとダメですね。今年はそれがうまくできず、思った程茎や葉が育たなかったり、収穫が遅れ結果的に収量が少なくなってしまいました。」

今年の夏は、きゅうり・なす・トマト・ピーマンを、現在は冬野菜として、大根・かぶ・白菜・キャベツ・ブロッコリーの栽培を開始している。

「まだまだ初めてのことばかりなので、いろいろ難しいなぁ〜。と感じることがほとんどです。そんな中でも、人間の力が足りなくてもすくすくと育ってくれる野菜たちを見ると、『野菜の生命力って、すげぇ〜なぁ。』と、感動します。」

農業は、1年1回。チャンスは1度きり。始めたばかりの今年だからこそ、失敗を恐れず、何でも挑戦しておこう!という精神の中で、育てることの喜び痛感する日々を楽しんでいる。

「子供たちに何かを聞かれたら、何でも答えられるよう、何でも知っておきたいという気持ちと、その中で『何が得意なの?』と聞かれたら、『これなら任せて!』という得意分野を持っておきたいという、ちょっと欲張りな気持ちがあります。」

今後に向けて、長期的な目標をそう語る村上さんの隠然たる想いは、野菜と共に着実に実ってゆくことだろう。

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